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ープラント配管工事の圧力と温度の基準とは?安全と効率を両立するための設計ポイントー

プラント配管工事で圧力と温度の基準が重要な理由

プラント配管工事では、流体を安全かつ効率的に輸送するために「圧力」と「温度」の管理が不可欠です。これらの条件は、配管設計や使用する材料、施工方法に直接関わるため、基準を明確に理解しておくことが非常に重要です。基準を誤れば、配管の破損や漏れ、設備の停止などの重大なトラブルを招く可能性があります。

配管設計における基本的な考え方

配管には様々な種類の流体(蒸気、ガス、油、水など)が流れ、それぞれに適した圧力と温度範囲が求められます。そのため、設計段階では使用条件に応じた基準を適用しなければなりません。

圧力と温度のバランスが設備全体に影響する

流体の温度が高ければ配管の材質は耐熱性が求められ、圧力が高ければ配管の肉厚や強度が重要になります。温度と圧力は互いに影響し合うため、バランスの取れた基準設定が重要です。

配管工事における圧力の基準とは

配管の圧力基準は、設計圧力と使用圧力の違い、圧力の種類、そして関連する規格によって決まります。

設計圧力と使用圧力の違い

* 使用圧力:実際に運転時に配管内を流れる流体がかかる圧力
* 設計圧力:安全マージンを加味して設計される圧力の上限

設計圧力は、想定外の圧力上昇にも耐えられるように設定されるため、通常の運転圧力よりも10~20%ほど高く見積もられます。

静圧と動圧の違い

* 静圧:流体が流れていない状態でかかる圧力
* 動圧:流れている状態で配管内に発生する圧力

設計では両者を考慮し、総合的な耐圧性能を計算します。

使用される圧力の単位と目安

* 使用圧力の単位は主にMPa(メガパスカル)で表される
* 低圧配管(〜0.1MPa)、中圧(0.1〜1.0MPa)、高圧(1.0MPa〜)と区分される

扱う流体や工場の業種によって異なりますが、設計段階で区分を明確にすることで、安全な配管構築が可能になります。

配管工事における温度の基準とは

温度管理は、配管の材質や構造を左右する重要な要素です。配管が高温または低温の流体を扱う場合、温度変化による膨張・収縮や劣化のリスクを考慮する必要があります。

設計温度と運転温度の違い

* 運転温度:日常的な稼働時の配管内の温度
* 設計温度:運転中の異常上昇や外気温を含めた最大想定温度

たとえば蒸気配管であれば、運転温度が120℃でも、設計温度を150℃程度に設定するのが一般的です。

温度区分の一例

* 常温:0〜50℃
* 低温:0℃未満(保冷設計が必要)
* 中温:50〜150℃程度
* 高温:150℃以上(断熱・耐熱設計が必要)

高温配管には断熱材、低温配管には保冷材を用いて、外気との熱交換を防ぎます。

温度と材質の関係

温度が上がるほど、使用できる配管材料は限定されます。

* 炭素鋼:〜400℃程度まで対応可能
* ステンレス鋼:〜600℃前後まで使用可能
* 特殊合金(インコネル、ハステロイなど):700℃以上でも対応可能

温度条件を把握することで、コストと性能のバランスを取った材料選定が可能になります。

圧力・温度の基準に関係する主な規格

プラント配管工事においては、国内外のさまざまな設計・施工基準が適用されます。ここではよく使われる代表的な規格を紹介します。

日本国内の規格(JIS・高圧ガス保安法など)

* JIS(日本工業規格):配管材料・寸法・圧力温度区分などを規定
* 高圧ガス保安法:高圧ガスを扱う設備の設計・製造・使用・保守に関する法律

特に高圧配管を扱う工事では、保安法による厳格な基準が適用されます。

国際規格(ASME、ANSI、ISOなど)

* ASME(アメリカ機械学会):ボイラー・圧力容器・配管の設計基準
* ANSI(米国規格協会):フランジ、バルブなどの寸法や耐圧基準
* ISO(国際標準化機構):各国で共通化された設計規格

海外との取引が多いプラントでは、国際規格への対応が求められることもあります。

圧力・温度基準を踏まえた配管工事の進め方

圧力と温度の設計基準を満たす配管工事を行うには、事前の調査から設計・施工・検査に至るまで、段階的な対応が必要です。

事前調査と計算

* 流体の性質(温度・圧力・腐食性など)を確認
* 必要な耐圧・耐熱性能を算出
* 材料の選定と配管ルートの仮設計

設計・図面作成

* 設計圧力・温度に対応した継手、バルブ、支持材を選定
* 配管応力解析による安全確認
* 実際の施工環境を想定したレイアウト図の作成

施工と検査

* 設計に基づいた正確な施工
* 完了後の耐圧試験、リークテスト、非破壊検査などを実施
* 記録書類の整備と保管

圧力・温度の基準を満たすことで、工事完了後も長期にわたって安全・安定稼働が期待できます。

まとめ:圧力と温度の基準が配管工事の品質を決める

プラント配管工事においては、圧力と温度の基準を正しく設定・適用することが、工事の安全性・耐久性・効率性を左右します。設計段階での基準確認、材料の適正な選定、そして信頼できる施工体制が揃ってこそ、安心できる設備運用が実現できます。今後配管工事を検討されている方は、ぜひ圧力と温度の基準にも注目し、納得のいく配管設計と施工を目指してください。

2025.07.25